FIFA規定・選手登録
FIFA第19条の基本Q&A 9問
なぜ18歳未満は海外クラブに登録できないのか。すべての出発点であるFIFA RSTP第19条の内容を、正確に理解しましょう。
規定の内容
FIFA第19条とはどんな規定ですか?
FIFAの「選手の地位と移籍に関する規則(RSTP)」第19条は、選手の国際移籍を18歳以上に限定する規定です。さらに、外国籍の未成年選手がその国で初めて選手登録する場合(初回登録)にも同じ制限が適用されます。
つまり日本国籍の17歳以下の選手は、移籍でも新規登録でも、原則としてスペインのクラブに選手登録できず、公式戦に出場できません。認められるのは限定的な例外要件を満たす場合のみです。
なぜ18歳未満の国際移籍は禁止されているのですか?
未成年選手の保護のためです。過去に、家族から引き離された少年選手が海外クラブとの契約に至らず現地に放置されるなど、人身取引に近い搾取が国際的な問題になりました。FIFAは「若い選手の移籍が本人の利益より商業的利益で動くこと」を防ぐため、原則禁止+限定例外という厳格な枠組みを採用しています。
この背景を理解すると、例外審査が「本当に子どものサッカー以外の理由か」を厳しく見る理由も納得できるはずです。
第19条は何歳から適用されますか? 10歳の子どもにも関係ありますか?
国際移籍・初回登録の制限は18歳未満すべてに適用されます。10歳でも15歳でも、外国籍選手としてスペインの連盟に登録しようとすれば審査の対象です。
一部の年齢層(概ね10歳未満)には簡易な手続きが認められる場合がありますが、「小さい子なら自由に登録できる」わけではありません。年齢が低くても、例外要件の該当性は同じ枠組みで判断されます。
適用範囲
練習参加やキャンプ参加にも第19条は適用されますか?
適用されません。第19条が規制するのは連盟への「選手登録」であり、登録を伴わない練習参加、サマーキャンプ、スクール活動は対象外です。だからこそ短期のサッカー留学は「練習参加型」として合法的に成立しています。
裏を返せば、登録をしない以上、リーグ戦などの公式戦には出場できません。「留学=試合に出られる」ではないことを最初に理解しておく必要があります。
練習試合や非公式の大会には出られますか?
連盟登録を要しない紛れもない親善試合・トーナメント(国際ユース大会の招待枠など)であれば、出場できる場合があります。ただしスペインは日本と違って頻繁に練習試合を組む文化がなく、シーズン中の試合はほぼすべて連盟管轄の公式戦です。
「1ヶ月滞在しても試合経験はゼロだった」という声が多いのはこのためです。試合出場の機会がどの程度あるかは、参加前にプログラム運営者へ具体的に確認しましょう。
アマチュアの地域クラブへの登録なら制限はないのでは?
アマチュアクラブでも制限はあります。外国籍未成年の初回登録である以上、例外要件の審査を通る必要があります。違いは審査の窓口で、プロライセンスを持つクラブへの登録はFIFAの機関(Football Tribunal)の事前承認が必要なのに対し、純アマチュアクラブへの登録はスペインサッカー連盟(RFEF)側で処理されます。
アマチュアだから自動的にOKというわけではなく、必要書類と審査の枠組みは共通です。
よくある誤解
「久保建英選手はバルサでプレーしていた」のはなぜ可能だったのですか?
久保選手がバルセロナの下部組織に所属していた時期に、バルセロナは未成年選手の登録に関するFIFA第19条違反で処分を受け(2014年)、久保選手を含む複数の選手が公式戦に出場できなくなりました。最終的に久保選手は日本に帰国しています。
つまりこの事例は「未成年でも海外挑戦できる」例ではなく、逆に「名門クラブですら第19条を回避できない」ことを示した象徴的な事例です。
「登録できた日本人の子がいる」と聞きました。ルールは実は緩いのでは?
登録できた事例は存在しますが、それは例外要件(親の移住など)を満たし、審査を通過したケースです。特に親が実態のある就労・居住をしている家族の子どもがアマチュアクラブに登録された例は確認されています。
重要なのは「誰かができた」ことと「自分の家族の状況でできる」ことは別だという点です。審査は家族ごとの事情(移住理由・時系列・就労実態)を個別に見るため、他人の成功例はそのまま参考になりません。
規制は将来緩和される可能性はありますか?
流動的です。2026年5月にはスペインの最高スポーツ評議会(CSD)が「合法的に居住する外国籍未成年には連盟登録を認めるべき」とする決定を出し、FIFA規則との間で緊張関係が生まれています。緩和方向の動きはあるものの、確定した制度変更ではありません。
私たちは最新動向を継続的に追っていますが、現時点の計画は「現行ルールで成立する設計」を前提にすべきです。
ご注意
本カテゴリの内容は公開されている規定・判例・手続マニュアルの整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は必ずスポーツ法・移民法の専門家にご確認ください。選手登録の承認はFIFAおよびスペインサッカー連盟の審査により決定されるものであり、当方が登録・入団・公式戦出場を保証することはできません。