スペインのビザ・滞在許可
就労ビザ・自営(アウトノモ)Q&A 9問
現地企業への就職や自分の事業での移住はどれくらい現実的か。就労ビザ(cuenta ajena)と自営ビザ(cuenta propia)を解説します。
就労ビザ(現地雇用)
スペインの会社に就職して移住することはできますか?
制度上は可能ですが、日本人には最難関ルートです。雇用主がスペインで確保できることに加え、原則として「国内・EU内で人材が見つからない職種であること」(国家雇用状況の考慮)を示す必要があり、スペイン語力も当然求められます。
高度専門職(EUブルーカード等)に該当するスキルがある場合はハードルが下がりますが、一般的な職種での現地就職からの移住は現実的な第一候補にはなりにくいのが実情です。
就労ビザの場合、家族はすぐ帯同できますか?
原則は、本人が先に渡航し、一定期間の居住後に家族を呼び寄せる(reagrupación familiar)流れで、家族の合流まで1年以上かかることがあります。家族一斉の移住を目指すなら、同時申請できるデジタルノマドビザの方が設計しやすいのが実情です。
高度専門職などの一部カテゴリでは家族同時申請が認められる場合もあります。
現地の日系企業やサッカー関連の仕事に就く道はありますか?
マドリードやバルセロナには日系企業の拠点がありますが、アンダルシアでは限られます。サッカー関連(アカデミーのスタッフ等)の求人も存在しますが、安定した雇用契約と就労許可の要件を満たすものは多くありません。
なお、注意点として、子どもの選手登録を目的に事業者や知人が「形だけの仕事」を用意することは、FIFA審査で偽装と認定されてきた典型パターンです。仕事は実態が伴っていなければ意味がありません。
自営ビザ(autónomo)
自営業ビザ(cuenta propia)とはどんなビザですか?
スペインで自分の事業(個人事業・会社経営)を行うための滞在許可です。実現性のある事業計画書、十分な自己資金、必要な資格・許認可、事業が生活を支えられる収益見込みなどを示す必要があり、審査は厳しめです。
飲食店経営、貿易、コンサルティング、オンラインビジネスの現地法人化など、実態のある事業構想がある方に向いています。
日本食レストランなどの開業は移住ルートとして現実的ですか?
資金と事業経験があれば選択肢になります。スペインでは日本食の人気が高く、アンダルシアの都市部でも日本食業態は成長しています。ただし、飲食業の許認可、物件契約、雇用などスペイン特有の実務が多く、現地の専門家(gestor)のサポートが不可欠です。
事業の実態と収益が伴えば、就労実態の面でも強い滞在基盤になります。
autónomoの社会保険や税金はどうなりますか?
自営業者として社会保険料(2026年時点で収入に応じ月200ユーロ台〜)を納め、これにより本人と家族が公的医療(SNS)の対象になります。所得税は累進課税で、四半期ごとの申告・納付(IVA/IRPF)が必要です。
会計・税務は日本より手続きが細かく、月額数十ユーロ〜でgestorに記帳を委託するのが標準的です。
ビザ戦略の考え方
結局、日本人家族にはどのビザが現実的ですか?
多くの家族にとって現実的な第一候補は、(1)日本の仕事を持ったまま移住できるデジタルノマドビザ、次いで(2)実態ある事業を興す自営ビザです。非営利ビザは資産があれば取得しやすい一方、就労禁止のため子どもの選手登録とは相性が悪く、現地就労ビザは難易度が高い、という整理になります。
ご家庭の職業・収入・資産の構成で最適解は変わるため、適格性の診断から始めることをおすすめします。
ビザ申請は自分でできますか? 専門家は必要?
書類を自力で揃えて申請すること自体は可能ですが、家族分の書類、アポスティーユ、翻訳、スペイン側の制度変更への追従を考えると、移民法専門家(弁護士・gestor)への依頼が現実的です。費用は家族構成や依頼範囲により数十万円程度が目安です。
特に子どものサッカーが絡む場合、ビザの種類の選択そのものが将来の選手登録の成否に影響するため、全体設計ができる体制で進めるべきです。
ビザが却下されることはありますか? 対策は?
あります。主な却下理由は、収入・資金要件の不足、書類の不備・翻訳漏れ、保険の条件不適合、無犯罪証明の期限切れなど、実務的なものが大半です。却下されても理由を解消して再申請は可能です。
対策はシンプルで、(1)要件に余裕を持たせる(収入・資金は下限ギリギリを避ける)、(2)書類の有効期限を逆算して揃える、(3)経験豊富な専門家にチェックさせる、の3点です。
ご注意
ビザの要件・金額は頻繁に改正されます。本内容は2026年時点の公開情報の整理であり、申請時は必ずスペイン大使館・領事館の最新情報と移民法専門家にご確認ください。